雨の日は嫌い。
傘をさしていても濡れるし、気分は晴れないし、色も無い。
美術室から見える風景もかすんで見えるし、まるで見える物全てが泣いているようで、私まで悲しくなる。

……私の場合、それだけじゃないけれど。


「ねえ、知ってる?雨の日の夕方にバス停に現れる幽霊の話」
「知ってる知ってる!」

空は、今にも降り出しそうなほどどんよりとしていて、電気をつけているというのに教室内はどこか薄暗い感じがする。
梅雨入りしてじめじめとしたこの時期は、少しずつ夏に向けての怪談話が増えていくのも事実。
窓側にいる女子グループが楽しそうに声をあげて盛り上がっている。

いつ、誰が話し始めたのかはわからないけれど、何でもうちの高校の前にあるバス停に幽霊が現れるらしい。
それも雨の日の夕方限定で。