ジンと別れ自分の家に向かう途中、スマホをチェックしていると、智也からの不在着信が1件入っていた。
 折り返してみると、すぐに聞こえた智也の声。


『紗矢花、今から会えるか?』

「少しだけなら会えないこともないよ。私も話したいことあるし」

『じゃあ、いつもの公園で待ってる』


 約束をとりつけ、電話を切る。

 わりと近くの公園だったので、私の方が先に着く。
 公園の奥にあるベンチに座っていると、5分も待たずに制服姿の智也が現れた。
 砂場の脇を通って近づいてくる彼は、くちびるに薄く笑みを乗せている。


「待った?」

「うん。ちょっとね」

「そ、」


 智也はためらいもせずに、私のすぐ隣に腰掛けた。
 制服越しの腕が微かに触れる。
 陽の光の下では蜂蜜色に輝く髪が、夜を迎えた今はその輝きが消え、深い闇の色が混ざっていた。


「何その制服。なんで破れてんの」


 長い足を組み、智也は胸元を覗き込んできた。