谷ハナエ、十五歳。ここは雪の降る小さな町。
十二月の初旬、私は母とこの町に越してきた。
昔、母がまだ十代だった頃、少しだけ過ごしたことがあるという、この町。

私の知らない、小さな町……





一年生のクラスは二つしかなくて、A組とB組に分かれている。その二クラスの中で、私は一年B組になった。席は廊下側の一番後ろ、いわゆる特等席ってやつ。せっかくの特等席なのに、憂鬱が拭えない。見慣れない教室も見慣れない生徒も見慣れない先生も、なにもかもが見慣れないものばかりで、憂鬱で不安。

「なんでこんな時期に転校してきたんだろー」
「家庭の事情とかじゃない?」
「この中途半端な時期って、絶対複雑な事情だよね」

季節外れの転校生ほど噂の的になるものはない。
転校初日の休み時間は、ヒソヒソと噂される声が聞こえてきた。

「あの、よかったらお昼一緒に、」
「今日お弁当図書室で食べよー」
「あ、いいねいいねー」

二日目のお昼休みは勇気を出してみたけど空振りで、一人でお弁当を食べるのが悲しくて仕方なかった。

「次音楽室だよー、早く行こー」
「待って、トイレ寄ってくー」
「おっけー」
「……音楽室」

三日目の移動教室はどこに教室があるのかわからなくて、みんなの一番後ろを一人ついて歩いた。四日目の休み時間も五日目のお昼休みも六日目の移動教室も同じだった。

まったく馴染めない。季節外れの転校生が、こんなにも疎外されるものなのか。それともこんなに小さな町だから、家の噂がもう広まっているのかな。どっちにしても、この町に馴染めそうにない。

転校一週間目にして、私の心は限界だった……