自宅に帰った後、お風呂と夕食を済ませると居間の方で借りた絵本を読んでいた。
 こっちの話もいいなぁ~どちらを書こうかしら?
それ以外にも借りたから、じっくり読める。

 するとフッとシンの両親のことを思い出した。
そういえば……私もよく読んでもらっていたっけ。
 病室でも母によく読んでもらっていた。
母も退屈しないように、たくさんの絵本を持ってきてくれた。

 お母さん……。
思い出すと、何だか会いたくなってしまった。
 でも、それは出来ない。
前世の私は、亡くなっているのだから……。

「.……」

 あ、そうだわ。
私は、本を閉じるとバタバタとキッチンの方に向かった。
 キッチンには、ルイが洗い物をしていた。

「ねぇねぇルイ。今日ルイと一緒に寝てもいい?
でね。寝る時に、これを読んで欲しいの」

「別にいいですけど。
 もうお姉さんだから1人で寝るのでなかったのですか?」

「たまにはいいの。寝る前に読むといい夢が見れそうな気がするんだもん」

 せっかくなら、読んでもらう方がいいもん。
それに……。
 シンの両親を見たせいか1人で寝るのが寂しくなる。
だから誰かと一緒に寝たかった。

「うぅ……」

 すると嫌がった顔をするキラ君。
ちなみにキラ君は、ルイの背中に抱っこ紐で結ばれていた。
 最近ハイハイするようになってから、ルイの後をついて行くようになった。
 危ないからとおぶられるか、幼児椅子に座っていることが多い。

「いいじゃん。たまには……」

「やー!!」

 何故かキラ君に拒否られる。
何で?ルイを独り占めする気なの?
 私は、ちょっとムッとする。
私だって甘えたいのに……。