「ほら、これなんてお前が好きそうじゃねーか?
 妖精が冒険する絵本だ。
それと……こっちも女子の間で人気あるやつだぞ」

「わぁーありがとう。シン」

 私は、絵本を受け取ると開いてみた。
可愛らしい絵柄に、確かに妖精が冒険する話だった。
 これなら小学生向きだし、いいかも。
夢中で見ているとルイが、キラ君を抱っこしてこちらに来た。

「カレン。本見つかりましたか?」

「うん、これとこれにしたの。シンのお薦めだって」

「そうですか、それは良かったですね。
 キラも何か選んでみては?」

 ルイは、キラ君に本を薦めてみる。
どうやらキラ君も本に興味があるようで、ジッと本棚を見つめていた。
 そういえば窓の外を見ている他に本を読んでいたこともあったっけ。

「あ、そうだ。ルイ絵本読んで~」

「絵本ですか?えぇ、いいですよ」

 やった~ルイの読み聞かせ大好き。
心地よい爽やかな低音ボイスのルイの読み聞かせにピッタリだ。
 キラ君も気に入ってよく読んでもらっているようだった。

 椅子のある場所まで移動する。
そしてルイが座ると膝の上にキラ君を座らせた。
私は、その横に座り絵本を覗き込んだ。
 シンは、近くで別の本を取り出して読んでいた。
夢中になりながら読んでもらっていると、しばらくしてシンのお父さんがこちらに来た。

「おや、楽しんでいるようだね」

「あ、シンのお父さんだ!
はい。この絵本は、シンが薦めてくれたんです」

「ほう……息子が」

 シンのお父さんは、それを聞いてクスッと笑いながらシンを見る。