今考えても悲惨な人生だったわね。
こんな風に友達と一緒に遊んだり、勉強したことすらないなんて……。
 すると煌君は、ふーんとそれを聞いていた。

「前から思っていたけどお前……転生者だけど、どんな人生だったんだよ?
 心臓が悪いと言っていたけど、身体弱ったのかよ?」

「う、うん。凄く……移植手術が必要なぐらいには。
 でもドナーの順番を待っている間に亡くなったの。
こんな風におやつを食べて友達と遊ぶことも難しくて……毎日点滴しながら寝ていたの」

 私の事を聞いてくれたのは、意外で驚いたが素直に事情を話した。
 水筒の紅茶を飲みながら……。
煌君は、黙りながらカップケーキに口をつけていた。

「でも今は、楽しいのよ?
 お母さん達には、会えないけど……皆優しいし。
それに今は、元気に走り回れるし。
 煌君は?第8皇子ってことは、兄弟たくさん居るの?
どんなお兄さんなの?仲がいいの?」

 自分の話だと暗くなるので煌君の事を聞いた。
そもそも第8皇子って凄い。大家族なんだ?
 しかし煌君の表情は暗くなった。

「仲良くもねぇーよ。俺らは、腹違いの兄弟だし。
 お前らみたいに仲良しこよしの種族ではないし、親も放任主義だ。
跡を継ぎたかったら、潰し合いなんて日常茶飯事だ!」

「えっ……?」

 腹違いの兄弟にも驚いたが……潰し合い!?
複雑な家庭環境に驚いてしまった。
 で、でも……半分でも血の分けた兄弟だよ?

「……獣族は、弱肉強食の世界だ。
 強い奴が生き残り、弱い奴は死ぬ運命だ。
それが王族でも関係ない。だから俺は、生き残る。
 どんな手を使っても必ずな!」

 そう言った煌君の目は、闘争心に燃えていた。
強い意志を感じる……しかし何処となく寂しそうだ。
 何となくだが本心ではないように感じた……。

「寂しく……ないの?」

「……別に。生まれた時からそうだったし。
 まぁ俺は、稀に生まれる特殊な力を持っているみたいだから、護衛を特別につけられているが。
 護衛がアレだから……信用してねぇーけど」