わぁ~メロンのカップケーキがある!
他にもシュークリームやカスタードプリンもあった。
 これもいいなぁ~シン買ってくれないかな?
私は、買ってもらうばかりだし、まだお小遣いを貰っていない。
 すると荷物を受け取ったシンがこちらに来た。

「そろそろ帰るぞ。欲しいモノあったのか?」

「シン。これ欲しい……」

 私は、メロンのカップケーキを持って見せた。
するとシンは、やれやれとした表情をするが、そのカップケーキを手に取るとレジに向かってくれた。
 やった~と思いながら後ろについて行く。

 レジのお兄さんに小さな袋に入れてもらう。
そして自分で持つと傘を差しながら歩いていた。
 夕食のデザートに食べよう。
鼻唄を歌いながらそう思っていると、何処からか気配がした。

 気配と言っても目に入ったのだが。
すると電柱の下で子犬が、ぐったりしていた。
 ずぶ濡れになっており右足が酷い怪我をしていた。
大変……可哀想!!

「子犬が怪我してるよ!?大変……」

 私は、慌てて子犬の元に行く。
血が出ており痛そうだ。
 誰かに怪我をさせられたのかな?
何か薬か怪我を治すものはないかしら?
 しかし子犬を見たシンは、怪訝そうな表情をしていた。

「ゲッ!!それ……子犬じゃなくてオオカミの子供だぞ!?
 しかもどちらにしても、獣族じゃねぇーかよ」

「獣族?えっ?オオカミの子供……?
で、でも怪我しているし……」

「怪我をしていても、どーせ自業自得だろ?
 そんな奴に助けなくても、その内に仲間が助けに来るだろう!?
 目を覚ましたら噛みつかれるぞ」

 仲間が助けに……?
だけど雨も強いし、万が一助けに来る前に長時間も身体を濡れていたら命が危ない。
 私は、傘を子犬のそばに置くと抱き抱えようとした。
お、重い……。

「カレン、やめておけって!?
こんな奴を妖精界に連れて行ったら大問題になるぞ。
 それに中に入れてもらえない」

「で、でも死んじゃうよ?可哀想だよ……。
 こんな小さいのに、怪我までしているのに。
見捨てるなんて嫌だ!!」

 例え獣族で私達の敵だとしても、目の前に居るのは、衰弱した小さなオオカミだ。
 まるで過去の自分を見ているようで放っておけなかった。