本当に……?
ルイは、優しい口調でそう言ってきたが私は、不安が残ったままだった。

 その後は、確かに警戒したのか、それ以降何もしてこなかった。
 街の妖精達も不安から普通の日常に戻る。
私も月日が過ぎて行く頃には、その不安もなくなっていた。

 そして1歳半過ぎた頃。
私は、普通に話せるようになってきたし、1人で走ったりご飯も食べられるようになった。
 見た目は、すでに4歳ぐらいに見えるだろう。

 今日は、縁側の近くでお絵描きをしていた。
外で遊ぶのも大好きだが、絵を描いたり絵本を読んだりするのも前世と変わらずに好きだった。
 庭の花をスケッチしていると1匹の綺麗な蝶々がヒラヒラと飛んでいるのが見えた。
 虹色の羽根をしており、見たこともないような綺麗な蝶々だった。何て名前の蝶々だろうか?

「うわぁ~綺麗な蝶々!!」

 私は、不思議に思いながらも興奮して言う。
しかしその蝶々は、そのまま飛んで行ってしまった。

「あ、待って~」

 描きかけのスケッチブックを放り投げて私は、慌ててあとを追いかけた。
 ヒラヒラと飛んで行く蝶々の向かっている先は、本家のある方だった。
 本家は、無断で入ってはならないところだ。
戸惑ったが、蝶々の行き先か気になってそのままついていく。

 蝶々は、本家の庭まで来てしまった。
すると珍しくキョウ様が縁側で座ってお茶を飲んでいた。
 近くには、キルア様とセイ様も一緒だ。
私は、慌てて木の影に隠れた。
 蝶々は、キョウ様の周りを飛ぶと指先に止まった。
そうしたらポンッと音と共に消えた。
 残ったのは、1枚の紙だけだ。

 えっ?どういうこと!?
あの綺麗な蝶々が紙になっちゃったの!?
 私は、唖然としながら見ていた。
キョウ様は、クスッと笑うとその紙を見ていた。

「なるほどのう……獣族は、どうやら戦争よりも我々の弱味を握りたいみたいだのう」

「弱味……ですか?」

「そうじゃ。私の弱味をのう……。
 それに最近私に娘として転生した子が居ると気づいたみたいじゃのう。
 それが我々の弱味になると思ったのかもしれんのう……」

 えっ……私がキョウ様の弱味!?
しかも獣族が私の事を知ってしまったの?
 それって大変なことなんじゃあ?