「すぐに来いと言ったはずだが、随分と遅かったな?
キョウ様を待たせるとは、感心しないが?」
「申し訳ありません。ちょっと支度に手間取りました」
この声は、側近のキルア様の声だ。
ルイは、廊下に座ったまま頭を下げて謝罪をした。
シンも正座をして頭を下げていた。
この2人が恐れるように頭を下げる姿を見て
やっぱり怖い人なのでは?と思ってしまった。
このピリッとした緊張感が何よりの証拠だった。
「別に良いぞ。中に入って参れ」
「失礼します……」
するとキョウ様は、クスッと笑うようにそう言ってくれた。どうやら許してもらえたようだ。
ルイは、静かに障子の戸を開ける。
そして私を抱っこしながら中に入った。
中に入るとキョウ様は、布団から起き上がっていた。
そばには、側近のキルア様とセイ様が正座をしながら座っていた。
キョウ様は、普段は、部屋で過ごしている。
妖精界1番の長老で当主だ。
そのため身体を悪くされて療養していると聞いていた。
と言っても寝たっきりという訳ではないが。
本当の年は、誰も知らないらしい。
しかしその美しさは、どの妖精にも負けてはいない。
綺麗な白銀の髪、少し崩れた着物姿は、妖艶な美しさと色気を漂わしていた。
「よく来たのう。さぁ……カレンをこちらに」
「は、はい……」
ルイは、恐縮しながら私をキョウ様の近くに座らせた。
私は、どうしたらいいか分からずに硬直する。
心臓が飛び出しそうになるぐらいにドキドキしていた。
するとキョウ様は、ニコッと微笑むと私の頭を優しく触れた。
「随分と愛らしく成長したようだのう。どうだ?
この世界に少しは慣れたかえ?」