「まだ、そんな口が聞けるのか?
 もっと痛めつけて殺すまでやれば良かったのに。
兄者。お仕置きが、甘かったんじゃない?
 前もそれで失敗したじゃん」

「うるさいよ。しかし、おかしいなぁ~頭蓋骨を割るぐらいに殴ったはずなのに……。
 殺すつもりでさ。でもまぁ、いいさ。
妖精族の姫を呼び出すのに丁度良かった。
 2人共同時に殺せるからね」

「まぁ、そうだね」

 双子は、クスクスと笑いながらそんなことを話していた。
 えっ?じゃあ煌君が、こうなったのはお兄さん達が?
 兄弟なのに、何故あんなことが出来るの?
私は、彼らの心理に理解ができなかった……。

『逃げろ。アイツらは、お前を狙っている。
 妖精を殺すことを何とも思わない連中だ!』

 私を……?何故?
私は、妖精だけど特別凄い訳ではないのに。
 それに……煌君。それでも私を庇ってくれるの?
だが、双子達は、近付いてきた。

「ちょっと黙っててくれるかな?キラ。
 僕達はね。君も目障りなんだよ?
末っ子のくせに、何故か君だけ特殊能力の力を引き継いだ。
 悪魔の声(デビルボイス)をね……」

「本当に迷惑だよ。その能力があれば、どんな奴も大人しく従わせることが出来るのに。
 なのに、君だけその証……オッドアイを持っているのだから」

 えっ?じゃあオッドアイは、その証なの?
それに“悪魔の声”って……。
 するとハッとした。
そういえばドーベルマンの時に煌君が使っていた。
 あの正気ではないドーベルマンを言葉だけで怯えさせて逃げてしまった。

 鉛のように重く全身がピリピリした感じは、それが原因だったの?
 だとしたら凄い能力だわ!!
驚いていると煌君は、必死に立ち上がり私の前に。
 私を庇うようにしてくれた。しかし、ふらふらだ。

「……煌君?」

『俺がアイツらを引き付ける。
その間に……妖精界の結界の中に入り助けを呼べ』

「で、でも、そうしたら煌君が……!?』