私は、物心つく頃から心臓が弱かった。
何度も手術をしても治る見込みがないと判断される。
残すは、移植手術のみ……。
しかし虚しくもドナーの順番が回ってくる前に私は、この世を去ってしまった。
儚い命だった。もっと長く生きたかった。
いろんな世界や物に触れて楽しみたかった。
神様は、意地悪だ。私を見捨てるなんて。
そう思うと成仏が出来ずに魂だけが、さまよう。
そして何日かさまよい、山の付近に飛んでいる時だった。
眩しい光で知らない世界に吸い込まれた。
キラキラした不思議な感覚だ。
しばらくすると光が消えて霧の世界に。
すると、うっすらと人影が見えてきた。誰か居るの?
『おや?迷子かい?迷える魂……』
霧が少しずつ薄くなり人影が姿を現した。
私は、その人物に驚いた。なんて美しいのだろうと……。
絹のようにサラサラした白銀で太もも以上にある長い髪。
キリッとした切れ長のグレーの目。
肌白で、この世と思えないほど美しく端正な顔立ちだ。
それに羽根も生えていた……。
着物を着ているが年齢は、20代ぐらい?
……誰?神様かしら?
そう思うような圧倒される神々しいオーラで輝いて見えた。
男性?こんな美しい男性は、見たことがない。
するとその男性は、私を見てクスッと笑ってきた。
『……なるほど、可哀想に。
儚く散った少女の魂が迷い込んだか……良かろう。
見たところ……そなたは、純粋で美しい心を持っておる。
そなたにチャンスをやろう。
私の元に来るが良い。新しい身体を授けよう』
えっ……?新しい身体?
すると私の魂は、輝きだした。
えっ……何?何が起きたの!?
その輝きは、さらに大きくなり私を包み込んだ。
意識が保てずに気を失ってしまう。
周りが真っ暗になると何処からか声が聞こえてきた。
『この子を私が育てるのですか!?』
『そなたは、面倒みが良いと聞いておる。
まさに適任だろう?何すぐに育ち、
そなた達の年に追いつくだろう。
立派に育てておくれ?私の娘としてのう』
あれ?この声は、さっきの人?
それよりも育てるとか、どういうこと?
私は、不思議に思いながら目をうっすらと開けた。
まだ視界が、ぼやけているけど……少しずつ慣れていく。
そうしたら私を抱っこしている人物が見えた。
あの神様みたいな男性と同じ白銀の髪だった。
1つにまとめてあるが、長い髪だ。
それに神様には劣るけど、それでも美しい容姿をしていた。