
作品番号 1624779
最終更新 2021/01/07
天下太平の江戸を経て、文明開化の明治。そして――大正。
身をひそめていた『あやかし』たちが、影の中から姿を現しはじめた。
外国人居留地の麓、ハイカラな元町にある『木蓮堂』。そこに、雇われ店主で売れない小説家の叔父、舜次郎の手伝いをする娘――瞳子(とうこ)がいた。
女学校へ通う瞳子は十六才。学友たちの関心事は恋物語や縁談だが、瞳子が夢中なのはもっぱら商売。今は女学生向けに舶来物のハンカチやレースを仕入れ、店の一角を任されているくらいだ。
ある日、木蓮堂に『天妖番』の男が二人やって来た。あやかし関連の事件を扱う彼らが持ち込んだのは豪華な振袖の写真。
「見覚えはないか?」
そう訊ねる男を見上げた瞳子の目に視えたのは、猫のような『耳』と『尾』。
そして写真の振袖には『白い手』が視えた――。
身をひそめていた『あやかし』たちが、影の中から姿を現しはじめた。
外国人居留地の麓、ハイカラな元町にある『木蓮堂』。そこに、雇われ店主で売れない小説家の叔父、舜次郎の手伝いをする娘――瞳子(とうこ)がいた。
女学校へ通う瞳子は十六才。学友たちの関心事は恋物語や縁談だが、瞳子が夢中なのはもっぱら商売。今は女学生向けに舶来物のハンカチやレースを仕入れ、店の一角を任されているくらいだ。
ある日、木蓮堂に『天妖番』の男が二人やって来た。あやかし関連の事件を扱う彼らが持ち込んだのは豪華な振袖の写真。
「見覚えはないか?」
そう訊ねる男を見上げた瞳子の目に視えたのは、猫のような『耳』と『尾』。
そして写真の振袖には『白い手』が視えた――。