「あの……あの時は、叱り飛ばしてくれて
本当にありがとうございました!」

 もう一度深々と頭を下げた。
感謝をしても仕切れないぐらいに青柳さんには、感謝をしている。

「謝らなくていいって言っただろ?
 俺は、曖昧な関係を君には、してほしくなかったから言ったんだ。
 むしろ言い過ぎたかもと思ったほどだ。
悪かったな……不愉快な気持ちにさせて」

 逆に謝られてしまう。そんな事はない。
不愉快に思うだなんて……罰が当たってしまうわ。
 大切な恩人なのに……。

「不愉快だなんて…そんな。
 むしろとても感謝しているんです。
背中を押してくれたのは、間違いなく青柳さんですから」

すると青柳さんは「君は……よく鈍感とか言われないか?」と
私にそう言ってきた。

「えっ?鈍感…私がですか?」

う~ん。あれ?その台詞
前にも課長に同じような事を言われたような……?

「どうですかね?そそっかしいとかなら
友人と夫に最近言われましたけど……」

「あぁ、それなら俺も同意だ!」

 納得する青柳さんにショックを受けた。
青柳さんまで同意するなんて……酷い。
 いくらなんでもそこまでそそっかしくないわよ!
もう……と頬を膨らませるとクスッと微笑まれた。
 あ、笑ったわ。青柳さんの笑顔も貴重だと思う。
あんまり笑顔を見せない人だから

「君の旦那は、大変だな。
こうも鈍感な奥さんを持つと安心が出来ないだろう」

「それって、どういう意味ですか?
あ、もしかして馬鹿にしてます?私のこと……」

「さぁな?」