「前のお礼といつも親切に教えて下さるので
せめてご馳走させて下さい!」
さすがに迷惑ばかりかけているので、これぐらいの事をさせてほしい。
そう思って声をかけた。
「あ、いや……まだ仕事があるし」
「お昼休みは、何時からですか?」
「……12時からだけど……」
少し困った表情で教えてくれた。
12時なら待っていられるわ。
やや強引だけど、お礼をしないのも気が引けるし出来る時にしたい。
「私、その時間まで待っています。
あ、託児所に息子を迎えに行かないといけませんけど」
「わ、分かった。なら、待合室にでも待っててくれ
終わったらすぐに行くから……」
「分かりました。じゃあ、待合室で待っていますね」
少し困ったように目線を逸らしながらそう言ってきた。
良かった……これでお礼が出来るわ。
そして私は、木田さんと一緒に和季を迎えに
託児所まで行くとそのまま別れて待合室で待った。
和季をベビーカーであやしながら
待っているとしばらくして青柳さんが現れた。
「すまない。少し遅くなった……」
「いえいえ。大丈夫ですよ!」
立ち上がりながら言うと青柳さんは、和季の顔を見ると
「この子か?君の子供は……」と私に聞いてきた。
すると「パパ。パーパ」と和季が青柳さんに対して
そう言って抱っこを要求し出した。
どうやら課長と間違えてしまったようだった。