「じゃあ、行きます!」

気を取り直してもう一度チャレンジする。
 もちろん、同じようなミスをして課長に怒鳴られたのは、言うまでもない。
 私って本当に才能がないのね……。

 ちゃんと免許が取れるか心配になってきた。
課長にもこの状態だと難しいと言われ余計に落ち込んだ。
 だけど、遅くまで私の練習に付き合ってくれた。

「よし。今日は、もう遅いからココまでにするか」

「ありがとう…ございました」

 ボロボロになりながらお礼を言った。
和季も泣き疲れて課長に抱かれたまま眠ってしまっていた。

 凄く怖かったけど……課長のお陰で少しは、上達をしたような気がする。
 そこは、感謝をしないといけない。

 翌日。私は、練習の成果を出すため教習所に向かい運転をする。
 上手くとは、なかなか言えないが……前よりは、
明らかにミスも少なかった。青柳さんも驚いていた。

「随分とミスが減ったな。練習でもしたのか?」

「ありがとうございます。鬼教……主人に
付き合ってもらって昨日たくさん練習をしました」

 私は、嬉しそうに笑顔を見せた。
嬉しい……。やっと少しは、合格に近づいた!
 まだまだ合格には、ほど遠いけど……。
車を定位置に停めると今日の講習が終わった。
ホッと胸を撫で下ろした。

「今日は、これで終わりだけど……引き続き頑張って
じゃあ、また明日」

「あ、待って下さい。良かったら、お昼一緒にどうですか?」

 青柳さんがそう言い去って行こうとするので慌てて呼び止めた。
少し驚いたように私を見る青柳さんだった。