何故、こんな噂が流れているのかは、すべてあの人が原因なんです!!
結婚する時に社長は、お互い『新堂』だと
紛らわしいから会社の時は、旧姓のままにしろと言われた。
確かに社長も『新堂』で秘書の私も『新堂』だと紛らわしい。
なるほどと思いその提案を受け入れた。
だが、それが間違いの元だった。
社長は、そのまま私達の関係を訂正せずに続行。
気づいた時には、すでに今のような噂が流れていた。
つまり会社内の噂だと私は、社長を誘惑し
愛人関係を築き上げ……妊娠。
家庭まで壊し離婚と結婚を迫っている最低最悪の性悪女。
こんなレッテルを貼られてしまった。
何よ…これ?誰が、誰を誘惑して結婚を迫っているって?
それは、全部社長自身なのに。腹が立つ。
私は、怒りをぶつけるべく社長室に向かった。
そして社長室のドアを思いっきり開けた。
「失礼します、社長。噂の件なんですがいい加減に本当の事を」
「夏希~子供の名前なんだけど『花恋』と『凛』なら
どっちがいい?やっぱり女の子がいいよなぁ~夏希似の可愛い子。
息子も欲しいけどさ…」
社長は、被せるように私に言ってきた。
はぁっ?と思ったがデスクを見ると子供の名前を考えていたらしい。
習字で何枚もの名前を書いていた。
「いや…子供の名前より先にするべき事がありますよね?」
「あ、2人目を作ればいい話か…よし。次は、息子だな」
人の話を聞いて下さいよ!?いい加減……。
私は、ハァッ……と大きなため息を吐いた。
「言っておきますけど、2人目を作る気は、まだありませんからね?
まだこの子も産まれてもいないのに。
それよりも社長の場合は、子供よりまず社内の皆さんに結婚報告をして…」
「あ、いけない。もうこんな時間だ!?
早く支度をしないと会議に間に合わなくなる」
そう言いながら社長は、デスクの回りを慌てて片づけ始めた。
誤魔化すな!!こうなった社長は、まったく人の話を聞かない。
話をすぐに逸らすし……。
文句を言いたいが本当に会議に遅れるので仕方がなく諦めて私も会議に向かった。