なら本物の奥さんは…何処に?
振り返ると社長は、息を切らしながらも追い付いてきた。
「それと……もう1つ。お前に隠していたことがある。
俺は、実は…既婚者ではない」
「はぁっ?何ですって!?
えっ……でも左手に結婚指輪をしているではないですか!?」
「これか?親父の形見なんだかデザインが気に入ってな。
はめていたら周りが結婚をしたもんだと勘違いしてきたんだ。
まぁ、財産や顔目当てで、近付いて来る女を追い払うために丁度いいと思ったし。
ずっと真実を言わないままにしていたのだが見事に引っかかるもんだよな?」
うんうんと社長は、納得したように話してきた。
私は、その真実を聞き唖然としていた。
もう一度、混乱をしている頭の中を整理をさせた。つまりあれだ!
社長は、父親の形見である指輪を付けていたため
既婚者と勘違いされだが、正真正銘の独身者。
つまり私と社長は、愛人関係でも無いただの男と女。
そして、娘だと勘違いしていた樹里ちゃんも誤解。
ただの妹さんの姪っ子さん。
つまり私は、今までずっと社長を既婚者だと思い
1人で苦しみ悩んでいたって事になる。はぁっ?何よ……それ!?
「2人が苗字が同じなのは、早百合の旦那が婿養子だからだ。
仕事で海外に居てあちらこちらに飛び回っているから
俺が樹里の父親代わりに度々なっているだけだ!」
「な、何で……そんなややこしいことを?
それなら、そうと何で言ってくれないのですか!?」
早く言ってくれたらこんなに悩まずに済んだのに……。
今までしてきた事が恥ずかしくなってきた。
「いや……夏希と秘書とのイケない不倫という憧れの
シチュエーションも体験が出来る上に
望めば、いつでも結婚が出来ると考えたらやめるにもやめられなくなったからだ。
夏希と不倫がしたい。夏希と結婚がしたい。
同時に楽しめるなんてお得なプランだと思わないか?」
社長は、目をキラキラさせながらそう言ってきた。
お得プランって……旅行みたいに言うな!!
私は、怒りが込み上げてきた。
私が苦しんでる間この人は、
脳天気にお楽しみ中……だと?冗談ではない!!
「社長。どうしてそんな嘘を言ったんですか!?」