もう……こっちは、振り回されてるというのに
社長みたいにお気楽な……。
 ムスッとしていると田所様は、クスクスと笑っていた。

『まぁまぁ、でも…どうだった?
 少しは、新堂を社長ではなくて男として見れたか?」と
そんなことを聞いてきた。

「むしろ、さらにお子様に見えました!」

キッパリと言い放った。だって子供みたいな発言ばかりするし
それに男として見る訳にはいかないのよ!

『アハハッ…やっぱり夏希ちゃんは、素直だな。
 まぁ、それより今から空いてる?一緒にお酒でも飲まないか?
今1人でバーに居るんだけど寂しくてね。
 良かったら話しついでに愚痴でも聞くけど?』

「えっ……えっと……」

 正直戸惑ってしまう。
誘われてしまったけど……どうしよう。
 だけど、これ以上あんな事が続いて行くのなら
田所様みたいに独身の方と一緒に居た方がいい。素敵な方だし………。

「分かりました。どちらのお店ですか?」

 私は、その誘いに乗ることにした。
場所に聞くと指定されたバーに向かった。
 中に入るとお洒落で落ち着いた感じのバーでカウンターの方で田所様が座っていた。
 私に気づくとひらひらと手を振ってくれた。

「やぁ、夏希ちゃん」

「お待たせしました」

頭を下げると隣に座る。
 そしてカクテルを飲みながら田所様に色々と愚痴を聞いてもらった。
 不思議と田所様の前だと素直に話せた。

「ふ~ん。夏希ちゃんも色々と大変だねぇ~」

「まったく、本当ですよ!!」

 私は、呆れながらカクテルを飲んだ。
本当に世話の焼ける人なんだから……。
 すると田所様は、私に微笑みながら
「なら、新堂やめて俺にする?」と言ってきた。