なるほど、確かに女性向きだ。
これなら、あんまりアルコールが強くない私でも飲めるわ。
美味しいし……。

 しばらくすると料理も運ばれてきた。
前食べた時も美味しかったが今日のは、特に美味しかった。

 会話もいつもと違い好きな映画のこと
趣味や料理の事など普通に楽しむことが出来る内容だった。
 まるで本当にデートを楽しむカップルみたいだった。
これが、そうだったらどんなにいいだろう。
 だが、ワインを飲み過ぎる前に気づくべきだった。

 お酒は、人の判断力を鈍らせる。
そう想うからこそ余計に控えるべきだったのだ。
 楽しい時間は、あっという間に過ぎてしまい
ワインのせいで酔いが回ってきた。

「大丈夫か?夏希……」

「うぅっ……つい飲み過ぎてしまいました」

 飲み過ぎて気持ちが悪い……。
身体も心もふらふらになってしまう。
 すると社長は、私の身体を支えてくれた。

「そうか。なら少し休んでいくか。
 丁度、部屋も取ってあることだし」と言いながら
ニヤリと笑う社長に気づくべきだった。

 その後。どんな風に口説かれたか分からない。
目を覚ました時には…そう。
 私は、社長と一夜を共に過ごしてしまったのだ。
嘘…でしょ!?唖然と後悔で頭が真っ白になった。

 広いスイートルームのベッドの上で横を見ると
裸で寝ている社長の姿があった。
 私も生まれたままの姿だった。頭も身体も……痛い。

何とか頭を必死に整理させる。
 確か楽しく会話をして……それから社長に連れて行かれて
レストランから出るとエレベーターで上がり部屋に案内された。
 そして……えぇっ!?
昨日の事をハッキリと思い出していく。

 あぁ~私の馬鹿、馬鹿。
何故、部屋に行ってしまったのよ?
 セクハラ社長が、何もしない訳がないのに。
どうするのよ…これ!?