「だが、今回の手柄は……間違いなく棗だぞ」

 社長は、ニヤリと得意気に笑った。
棗が……手柄?どういう意味だろうか?

「社長。私にも詳しく説明して下さい!!
それだと分かりませんよね」

 すると社長は、抱いている棗から小さなクマのぬいぐるみを取り上げようとした。
 起きたのか棗は、取られまいとギュッとぬいぐるみを握り離さない。

「棗、パパだ。少しそれを貸してくれ。
約束をちゃんと守ってるな。いい子だ!」

 そう言い頭をポンポンと撫でると棗は、スルッと手を離した。
社長の言っている事が分かるのかしら?

 すると社長は、ぬいぐるみを見せながら
「このクマのぬいぐるみに小型用の盗聴器と監視カメラを仕込んである。
 つまり全てココに記録をされているという訳だ!」と
説明してきた。

「いつの間にそんな物を仕込んでいたんですか?
えっ?最初から?」

 ぬいぐるみを渡す時にすでに仕込まれていたのだろうか?
だとしたら社長の計画性に脱帽する。

「いや、たまたまだ!」

 しかし、キッパリと否定してきた。
えっ?そのためじゃないの?だったら一体何のためなの?

「浮気防止の監視と着替えシーンを映して個人的に楽しむためのヤツだ!
 棗は、いいポジションに居るからな。
いや~たまたまとはいえ、役に立つと思わなかったが
多いに活躍が出来たようだな。
 ちなみに、このスイッチを入れて押すと“クマさんビーム”と
ボイスが聴こえて防犯ブザーが鳴る優れものだ!」

 社長は、満足そうに話してきた。
はい……?ちょっと待って。それって社長も犯罪じゃないのよ!?

「何を言っているのよ!?
覗き……それって、犯罪ではないですか!!」