「フフっ…驚いた表情をしているね？俺が気づいていないと思ってた？
　馬鹿だね……俺の情報力を舐めてるよ。
愛人とか噂がデタラメなことぐらい。すでに知っていたよ！
　知っていてワザとからかうつもりで言ったら君ったら……アハハッ……」

　人を馬鹿にしたように笑うレオンに腹が立ってきた。
でもレオンは、それすら楽しんでいる様子だった。

「だけどお陰で秀一が何故、君に執着するのか理解したよ？
　あんなにドライな秀一が……なるほど。
君には、他の女にない魅力がある。だから、その全てを秀一から奪ってやる。
　そして……君が俺の子を産めば俺の子孫が残せて一石二鳥だろ？」

　名案と言わんばかりにレオンは、発言してきた。
ゾクッと背筋が凍った。
　私は、その言葉に恐怖を覚える。この男は、本気だ。
そして狂っていると感じた。

　必死で逃げようとするが手錠が邪魔をして身動きがとれないでいた。
　くっ……逃げられない!!
だけど、こんな男にされるなんて嫌っ!!

　何とか逃げようと必死にジタバタしていると私に覆い被ってきた。
ちょっと何をする気なのよ!?

「フフッ……心配しなくても大丈夫だよ！
大人しくしてたら安全に帰してあげるからさ。ガキと一緒に。
　まぁ、撮影して度々君を呼び出すけど、俺の子を妊娠してもらうまでさ。
新堂、どんな顔するだろうね？」

　レオンは、楽しむようにニヤニヤと笑いながらそう言ってきた。
　馬鹿なこと言わないでよ。私は、あんたの子を産む訳がないでしょ!?
私は、負けじとキッと睨みつけた。

「何……？俺に何か言いたい訳？」

口に押さえつけられていた布切れを取ってきた。
チャンスだ！時間を稼げる。

「あなたは、どうしてそんなに社長を憎むの!?
憎むからには、あるんでしょ？社長と何があったのよ？」

　そこまでして憎むような関係なの？
あなたが、そこまで社長のモノを欲しがる理由。
そして憎む理由があるはずだ。
　するとレオンは、思い出したかのように怪訝そうな表情で目線を逸らしてきた。

「……別に。あいつが嫌いなだけだよ！
　秀一は、俺の欲しいモノを全て持っている。
なのに、いつも余裕で、奪っても簡単に俺に譲りやがる。
　ムカつくんだよ。何であいつにあって、俺にはない？
親の愛情も名誉も……好きだった子も全て……」

　苦しそうな表情をするレオン。
その表情は、憎しみというより苦しそうに思えた。