「香奈子ちゃん。真剣に俺と結婚前提に付き合って欲しい」

田所様のプロポーズに香奈子は、涙を流しながら頷いた。

「……はい。よろしくお願い致します」

 私まで感動して涙が溢れてきた。
良かったね…香奈子。
 この2人ならきっと幸せになれると思った。

 すると田所様は、こちらを見るなり
「という事だから、心配かけて悪かったな?
新堂、夏希ちゃん」と言ってきた。

「あぁ、構わん。いいものを見させてもらったからな」

 社長は、気にすることなくニヤリと笑った。
えぇっ?もしかして、バレてたの?
 私は、ガタッと立ち上がり2人の所に行く。

「えっと……もしかして気づいていました?」

「君ら2人が変装もしないで揃っていて
バレないと思う方が無理あるんじゃない?」

 田所様は、おかしそうにクスクスと笑いながらそう言ってきた。
 ハッ!!そういえば、忘れていたけど社長は、目立つ人だったわ!?

 社長は、イケメン過ぎるため
注目を浴びてしまう事をすっかり忘れていた。
 最近、見慣れてきたせいかも知れない。
チラッと香奈子の方を見る。

「もしかして、香奈子も……気づいていた?」

「当たり前でしょう。
 もう気づかないフリするの大変だったわよ!
そうではなくても恥ずかしいのに……」

 涙を拭きながらも呆れたように言われてしまう。
ですよね……。自分が恥ずかしくなってきた。

「す、すみません」