私は、驚きを隠せないでいた。
えぇっ!?まだ事情も話していないし、さっき分からないと
即答したばかりなのにもう分かったって言うの?
「夏希ちゃん。悪いけど……これ以上の事は、
俺に任せてくれないか?」
「任せるって何をですか……?」
「これ以上は、俺と香奈子ちゃんの2人の問題だってこと。
その意味……夏希ちゃんなら分かるだろ?」
田所様は、ニコリと微笑んだ。
つまり。それ以上は、2人の問題だから私は、関わるなと…?
そう言いたいのだろう。何とも勝手のいい話だ!
香奈子は、私の大切な親友なのに。
「田所様の言う通り他人の私が関わるのは、どうかと思いますが。
彼女は、私の親友です!
気になりますし、心配になるのは、当然の事です。
なので彼女を悲しませる事だけはしないで下さい」
ちょっとムカついたので強い口調で忠告した。
だが、田所様は、変わらない表情でニコッと微笑みながら
「だからこそだよ!」と言ってきた。
だからこそ……ってどういう意味よ!?
意味が分からなかったし話がこじれるし
何だか納得がいかないまま話が終わってしまった。
やっぱり納得がいかない私。
その夜に叱られる覚悟で社長に話した。
社長なら田所様の性格をよくご存知なので分かるかも知れない。
そう思った……しかし
「ふ~ん。田所らしいな」とそれだけだった。
いや、むしろ納得をしたように聞こえる。
同意意見だと言いたいのかしら?
「ですが…それってちょっと酷くありませんか?
香奈子は、私の親友なんですよ?」
親友だからこそ役に立ちたいし
だから忠告をしたのにあんな言い方はないわよ!?
すると社長は、ため息を吐いてきた。
「だからこそだ。心配だからと言って頼みもしないことを言ったら
それこそ香奈子ちゃんに失礼だろ?
頼んで言ってほしいと言われたのか?」
私に忠告をしてきた。うっ……確かに。
一言もそんなこと言われなかった。
もしかして私って…大きなお世話だったの?
「もしそうだったら香奈子ちゃんに恥をかかせる気だったんだぞ?
親友に言わせるとか…恥もいい所だ」