別に、パーティーそのものは嫌いじゃなかった。
 
 アルコールは飲めないけれど、気の合う仲間とワイワイやるのは楽しいから。

 けれど、会社のパーティーとなると話は別だ。出席するしないで出世に関わることもあるだろうし、自分の他に出席している別の課の上司にヘコヘコしなければならないので、疲れる。

「まったく、なんで(おれ)なんだよ」
 
 二十五(さい)桐島(きりしま)(みつぐ)は、会社の敷地内にあるパーティー会場の片隅でウーロン茶を飲みながらグチった。

 スーツはいつも着慣れているので、ドレスコードは別に気にならない。

 ただ、彼は今日、急きょ出席できなくなった総務課長の代理として、仕事でクタクタになった状態で出席させられていたのだ。

 貢は、丸の内にある大財閥・『篠沢(しのざわ)ホールディングス』の本社・篠沢商事の総務課に勤めるサラリーマンだ。入社して三年目。まだまだ新人の部類に入る。
 
 ちなみに今日のパーティーは、篠沢会長の四十五歳の誕生日を祝う会だった。――それはさておき。

 そんな若い彼に白羽の矢が立ったのは、ひとえに真面目(まじめ)で人当たりのいい性格ゆえ、日頃から課長に気に入られているからだった。

「桐島君。君なら上の人達にも気に入られること間違いなしだ! 頼んだぞ!」

「えー……。はぁ,分かりました……」

 貢は、頼まれるとイヤと言えない損な性分(しょうぶん)だ。これは多分、メガバンク支店長の父親に似てしまったんだろう。

 五十がらみのメタボ体型の課長に肩をバシバシ叩かれ、嫌々引きつった笑顔で引き受けるしかなかったワケである。