そして学校の授業は、順調よく進み放課後になると生徒達は、部活や自宅に帰って行く。
私も残りの仕事を片付けてから帰ることに。
駅に向かっていると黒いワゴン車が歩道に寄せてゆっくりと進んでいた。
変な車だなぁ……と私は、そう思った。
しかし、その瞬間だった。
後部座席のドアが開くと数人の降りてきて私を囲みだした。
「キャアッ!!誰よ……あなた達!?」
私は、必死に逃げようとするが囲まれているために逃げ切れず布を口に押さえつけられる。
そして、そのまま後部座席に押し込まれてしまった。
それは、一瞬の出来事だった。
私は、そのまま記憶を無くしてしまった……。
次に気づいた時には、何処かの倉庫の中だった。
後ろに縛られて身動きが取れない。
すると1人の男が私のところまで来ると前に立った。
私は、驚いて前を見た。
その人は、白いスーツに黒いワイシャツを着ており明るい茶髪の男性だった。
顔立ちは、ホストか芸能人かと思うほど端正な顔立ちだったが、かなりチャラそうだ。
見た目は、クールな鬼龍院さんとは、また違う印象だけど匹敵するほどのイケメンだった。
「目が覚めた?お嬢さん……いや椎名上紗さん」
「何故私の名前を!?いや、それよりもあなたは誰なの?
何でこんなことをするのよ!!」
困惑しながらも私は、その男に怒鳴り付けた。
いくら何でも何故、見ず知らずの男に拉致されないといけないのよ!?
キーキー騒いでいるとその男は、私の顔を見るなりフッと笑った。
「……うるさいな。俺は、大河内幸也だ。大河内組の若頭でもある。
君は、鬼龍院組の若頭の婚約者だろ?」
大河内組の若頭!?ってことは、鬼龍院さんと同じヤクザの人なの!?
でもだからって何で私を……?
婚約者と言ってもお見合いしただけで、まだ正式に付き合っている訳ではないのに。
「こんなことして悪かったね。
本当は、鬼龍院を連れて来るはずだったのだが……なんせ護衛が多いだろ?部下も苦戦していてね。
だから引き剥がすために君を利用することにした。
なに……彼を呼び出せれば君は、用済みだ。
すぐに解放してあげるから心配しなくてもいい」
鬼龍院さんを……!?
この人達……もしかして鬼龍院さんの命を狙っているってこと?だとしたら大変じゃない。
人を拉致して誘き寄せようとする卑怯な人達だ。
それぐらいのことをするかもしれない。何とかして逃げないと……。