だってもっと鬼龍院さんのことを知りたいと思ったし、それに何かしてあげたいと思ったからだ。
 だから……思わず誘ってしまった訳だ。
するとまたもや窓が思いっきり開いた。

「おい。だからって何で、そんな危ない奴を文化祭に誘うんだよ!?」

 坂下君……。相変わらず窓から登場ですか!?
いい加減に窓ではなくドアから来なさいよ!
 しかも話を聞いているし……。

「あら。いいじゃない。
一般も参加可能なんだし……私も会いたいわ♡」

「いや。ダメだろ!?一般人って、そいつらヤクザだろ。
 そんな危ない奴を呼んで、騒ぎになったらどうするんだよ?」

「その時は、その時よ♡」

 いやいや。坂下君の意見も一理あるけど……って奈緒。
 あんたは、適当に言わないで!?
とりあえずややこしくなる前に誤解を解かないと……。

「でもね……坂下君。鬼龍院さんは、別に普段から揉め事を起こしている訳ではないのよ?
この前は、たまたまで……」

「たまたまで2回もやっているじゃねぇーかよ!?
2度あれば3度あるに決まってるだろ。アホ」

……誰がアホだ!?
相変わらず教師に向かって口が悪いわね……。

「あのね……先生に向かってアホって何よ?
 それに鬼龍院さんは、普段大人しくて繊細な性格をしているの。
 そんなチンピラみたいに自分から手をあげないし」

「あ、先生ってあれだろ?
男に騙されてヒモ男に貢ぐタイプだろ?」

 はぁっ!?あぁ言えばこう言う……。
誰がヒモ男に貢ぐのよ!?
 そんなの騙される前に張り倒すわよ!

「えーヒモ男は、私も嫌だわ。
お金持ちのおじ様とかならタイプだけど」

 奈緒。あんたは、ちょっと黙ってて……。

「とにかく。そんな奴を文化祭に招待するとかどうかしているし。あと……その。
メイド服とか着なくてもいいかな?似合わないし」

 頬を赤く染めながら言いたいことだけ言うと、そのまま走って行ってしまった。
 相変わらず生意気に言いたいことだけ言うんだから。
しかも、すぐに何処かに行っちゃうし……まったく。
 呆れながら見ていると奈緒は、クスクスと笑いながらコーヒーを口につけていた。