これだと着ないと逆に変じゃない?
自分で口に出した以上は、着ないとおかしいし。
 えぇっ……どうしよう。

「あ、あの……例えばでして」

「僕……学校では恥じないように気を付けるよ。
 それに上紗さんの働いている職場を見れるなんて光栄なことだし楽しみだな」

 キラキラした天使の笑顔で言われてしまう。
なおさら本当のことが言えなくなってしまった。
 ど、どうしよう。これって……まずい状況かも。
私は、どうやら大変な約束をしてしまったようだった。

 せめて、どうにかならないかと翌日。
そのことを奈緒に話した。
 もちろん呆れた顔をされたが……。

「あんた……馬鹿じゃない?
自分で自分の首を絞めてどうするのよ?」

「ごもっともです……」

「それは、自分のせいなんだからどうにかしなさい。
 それよりもあんたも意外と大胆ねぇ……結局。
自分から会いに行っちゃうなんてさ」

うっ……それを言われると辛い。
 自分でもまさか会いに行っちゃうなんて夢にも思わなかった。だって……放っておけなかったんだもの。

「私も不思議でならないのよ。
 怖いと思っているはずなのに……どうしても会いたくなっちゃって気づいたら自宅に押しかけるんだもん」

 自分で自分の行動力が凄いと改めて思った。
普通自分からヤクザの屋敷に行こうなんて思わないだろう。
 なのに……あんな大胆なことして思った以上に恥ずかしい……。

 しかも鬼龍院さんのおでこにキスしちゃったし。
キャアッ~どうしよう。
 思い出しただけでも恥ずかしさで、どうにかなりそうだった。
 するとその様子を見ながらニヤニヤと笑う奈緒。

「しかし、これで。あんたがその若親分のことが好きだとハッキリしたわね。
 しかも文化祭に連れて来るとか……やるわね。
会えるのが楽しみだわ」

「それは、なりゆきで……」