「あ、あの……1つ聞いてもいいですか?」
「うん?何だい?」
「どうして私なんですか?お見合い相手に……」
どうしても聞きたかったことだった。
何故彼は、私を選んだのだろうか?
彼に相応しい人ならたくさん居るだろう。
例えばキャバ嬢とかお水関係や同じ関係のお嬢様とか……。
その世界に相応しい人だって居るはずだ。
鬼龍院さんは、少し驚いた表情をしたと思ったら一瞬にして真っ赤な表情になる。えっ……?
何故頬を赤らめるの?
「そ、それは……」
「わ、若。頼んでいたディナーが来たようですぜ!!」
すると側近のヤクザの人が慌てて話を逸らしてきた。
確かに頼んでいた前菜が来て話が逸れてしまったのだが……えっ?今の表情は……何?
すでに何も無かったかのように普通のクールな表情に戻っていた。
クールビューティーな表情が一瞬、赤く染まったように感じたのは、気のせい?
まるで何もなかったかのようだ……。
私は、思わず首を傾げた。
結局そのまま食事をしたのだが何も分からないままだった。
彼は、彼でそれ以上は、何も言ってくれないので大して盛り上がらず終わってしまった。
物静かでクールな人なのだろう。
職場に関して理解があるし素敵な人だったが、やはり住む世界の違う人だ。
いくらタイプな男性でも二度目はないだろう。
私は、そう思っていた。
まぁ、勿体ない気もするがヤクザだしね。無い無い。
しかしお別れ際に鬼龍院さんが私に……。
「上紗さん。もし良かったら今度は、2人きりでデートをしましょう」
また会いたいとそう言ってきた。デートのお誘いだった。
えっ……デート?鬼龍院さんと私が!?
まさかデートに誘われるなんて思わなかったから驚いてしまった。
「何処に行きたいのかは、こちらで決めておきます。
もっとお互いのことを知って……返事は、それからでも構わないので」