ぶつくさと言いながら、その夜。
私は、自宅でスマホとにらめっこしながら腕を組んで悩んでいた。どうしたものか……。
奈緒は、そう言っていたが
そもそも鬼龍院さんってそういうのに興味があるのかしら?
想像をしてみる。
すると淫らな格好で涙目になって震えている鬼龍院さんの姿が想像出来た。
逆だ……私が襲う方になってしまった。
うぐっ……ヤバい。鼻血が出そうだわ。
その儚げな天使の破壊力は、犯罪ものだろう。
ダメでしょ……自分。
教師が犯罪みたいなことをしたら
私は、鼻血を出ないように鼻を摘まみながら冷静になろうとした。思い出したらダメよ……。
と、とにかく……邪な妄想は捨てるのよ!
私は、教師なんだから。
自分に何度も言い聞かしていると突然スマホが鳴り出した。
ビクッといきなり鳴ったので身体が震え上がった。
びっくりした……だ、誰よ?
こんな夜遅くに電話してくるのは……?
私は、文句を言いながらスマホの着信画面を見た。
すると鬼龍院さんだった。う、嘘でしょ!?
私がする前に向こうから電話してくるなんて……。
ど、どうしよう。電話に出た方がいいのかしら?
でも……何を話したらいいのだろうか。
オロオロしていると電話が止まってしまった。
あぁ……と思ったらまた鳴り出した。
私は、慌てて電話に出る。
するとホッとしたように鬼龍院さんの声が聞こえてきた。
『えっと……今、大丈夫かな?』
「は、はい。大丈夫です」
うわぁー鬼龍院さんの声だ。
低くて通るような素敵な声。
私は、慌てて答える。心臓は、ドキドキと高鳴っていた。
どうしたのかしら?
そう思っていると鬼龍院さんは、ゴホンと咳払いをしてきた。
『あの……来週の土曜日に夕食でもどうですか?』
「えっ……?」
まさかの食事のお誘いだった。
自分が誘う前に誘われるなんて……。
ダメだと思っていても嬉しいと思ってしまった。
『上紗さん?あの……もしかして予定とかありましたか?』
「あ、いえ……全然大丈夫です。はい」