お頭様って……。
正直未だに自分でも戸惑っていた。
今までならフラれることはあっても自分から、こんなに悩んだことはなかった。
「うーん……どうしよう。奈緒」
「あんたが、フラれたことがあっても振り回す男が現れるなんて驚きよね。まぁいいんじゃない?
一度その男と寝てみないよ?
そうしたら、付き合うかどうか分かるんじゃない?」
はぁっ!?奈緒……あんた。何を言い出すのよ!?
奈緒の言葉に驚いてしまった。
しかも簡単に言ってくれるし……。
「な、何を言ってるの。鬼龍院さんとは、そんな関係ではないし…寝るとか……そんな」
「あんた……まだ未経験なの?
相変わらずこじれてるわねぇ……彼氏居たくせに」
だって仕方がないじゃない。
心の準備が出来る前に手を出そうとするから思わずビンタが……。実は、まだ未経験なのだ。
そのビンタが原因でフラれたことがあるため、なかなか一歩が踏み出せないまま今に至る。
奈緒は、呆れながらため息を吐いていた。
「丁度いいじゃない?その人にさっさとあげちゃいなさい。
そして相性良かったら、そのまま嫁ぎなさいよ!」
と、嫁ぐって……!?
そんな……いきなりお嫁だなんて。
奈緒の発言に余計に驚いてしまった。む、無理よ……。
「な、何を言い出すのよ!?嫁ぐとか……有りえないし」
まだ交際とかしてないし、それに関係だなんて……恥ずかしいじゃない。
「もう……焦れったいわね。
いいから、また食事に誘うなりデートしてきなさいよ。
人生は、一度きりよ?
さっさとあげるものならあげてきなさい」
「ちょっと……奈緒ったら」
無理だって言っても同じことしか言われずに結局
電話しろや早くしろだの散々言われてしまう。
まともに話すら聞いてくれなかった。
もう……他人事だと思って。