「そ、それよりも。やっぱり俺は、反対だからな!?
あんな二重人格で危ない野郎は……」
何故か怒りをこちらに向けられる。
はぁっ?何で……怒りがこちらに?
いや。それよりも二重人格で危ない野郎って……。
「ちょっと坂下君。鬼龍院さんに対して失礼じゃない」
「はぁっ?本当の事だろーが。
大体何だよ?あれは……人を何度も踏みつけるし、危ない匂いをプンプンさせていただろ。
なのに俺が言うとビビっているし……意味分からねぇーよ。
あんなの腹の中は、真っ黒に決まっている」
腹の中が真っ黒って……。
それは、あまりにも酷くない?坂下君……。
「上手いこと言って椎名先生を自分のモノにして、飽きたら捨てられるぞ?
何よりヤクザだったし……あんな奴がまともな訳がねぇーだろ!!」
坂下君は、そう言いながら主張してくる。
その言葉に私の胸は、ズキッと痛み動揺した。
で、でも……そんな風には見えないし……。
「あら。いいじゃないの。
危ない恋も……燃え上がるし魅力の1つじゃない。
本人同士がそれでいいなら何の問題もないと思うけど?」
「問題あるから言っているんだよ!?
何が燃え上がる恋だ。
あんな奴……俺は、絶対に認めないからな!!」
坂下君は、そう言うと窓を思いっきり閉めると何処かに行ってしまった。
ちょっと坂下君。あんた……授業は!?
私は、慌てて窓を開けて外を見たが、すでに坂下君は、立ち去った後で居なかった。速い……。
もう……この前から何なのよ?あの子は……。
私は、ため息を吐くと奈緒は、クスクスと笑いながらコーヒーを口につけた。
「フフッ……可愛いわよね。
素直じゃないっていうかツンデレなところが」
「ちょっと奈緒。あんたもあんたよ。
あんまり坂下君にちょっかいかけないでよ?」
そうではなくてもすぐに授業をサボろうとするのに……。
「あら。ちょっかいじゃなくて大切な生徒とのスキンシップよ?
それよりも、どうする気なのよ?
そのギャップのあるお頭様と付き合うの?」