しかも自分が選ぶと言ってしまい、必死に何処にするか悩んで決まった場所が大型ショッピングモール。
 本当は、鬼龍院さんとかなら、高級なお店とかがたくさんある場所の方が似合いそうだが……。

「すみません。私が選ぶと言っておきながら、こんなところで……」

「ううん。上紗さんが案内してくれる場所なら僕は、何でも嬉しい」

 鬼龍院さんは、そう言いながらニコッと微笑んでくれた。
 その爽やか笑顔は、キラキラしていた。
眩しい……何ですか……それ?どの殺し文句ですか?
 ちょっと罪悪感とその笑顔に胸がキュンキュンした。
この前もそうだったけど、鬼龍院さんって……謙虚よね?

 ヤクザって……こう喧嘩っ早いとか、顔面や態度から俺様系が多いイメージだが、どうもそれを感じさせない。
 むしろ見た目は、落ち着いたクール系だし
喧嘩が強いとか怖いとかのイメージが出来ない。

 こんなので本当にヤクザの若頭としてやっていけるのかしら?
 なんだか馬鹿にされたり見下されそうで心配だわ。
こういうのは、信頼や尊敬されないと難しいだろうし、器も大事だろう。

 いらない心配だと思いながら目線は、すっかり教師目線になっていた。
 すると鬼龍院さんは、人混みの中を歩きながら

「それに……僕もたまに行くんだ。こことか。
 色々お店とかあるし、たくさんの人が多いからトラブルも多くてね。あ、ここに入ってみませんか?」

 鬼龍院さんは、そう言って指を指した方向を見ると猫カフェだった。猫……カフェ!?
 また可愛らしく癒し系のお店を……。

「……ここですか?」

「あれ?猫とかダメでしたか?」

「えっ?いや……ちょっと驚いちゃって」

「僕……猫好きなんです。家にも3匹飼っていて」

 そ、そうなんだ。いや、性格からして好きでもおかしくない。むしろ似合うだろう……。
 鬼龍院さんのイメージだと猫を戯れる姿が想像出来てしまうから不思議だ。ヤクザのくせに……。