私は、必死に気持ちに応えた。
こんなにドキドキしたのは、今まであっただろうか?
 すると余計にお互いに恥ずかしくなり無口になってしまった。
 これでは、また気まずいままだ。それに私も何を言おうとしているのよ!?

 お見合いでもヤクザなんてとんでもない。
ありえないと言っていたはずなのに
 いつの間にか引くより惹かれてしまった。
私は、教師で……こんな恋なんてダメなのに……。

 そうしたら恥ずかしそうにしていた鬼龍院さんは、ふわっとまた天使の笑顔で微笑んできた。

「でも、良かった……引かれないでいてくれて。
もし引かれてフラれたりしたら立ち直れなかったから」

キュン……。
 その笑顔に「そんなことないですよ!」と口に出しそうになったがグッと我慢した。
 この笑顔は、ヤバいと思う……。
ヤクザとか教師とかどうでもよくなるぐらいの破壊力があるから……。

これが極道の若頭だというのだから違う意味で恐ろしい……。

「次……何処に行こうか?」

「えっ……?」

「遊園地の乗り物。まだオバケ屋敷しか行けてないから」

あぁ、そうね。そういえば、まだオバケ屋敷しか入っていない。
 とにかく、このままだと不味い。
何とかして断る理由を見つけないと……。
 私は、自分の危機感を感じ取った。

 普通の恋愛なら、それでいいのだが彼は、これでもヤクザ。
私は、一般の教師なのだ。
 世間や教育者としてこんなことは、許される訳がない。

「なら私のオススメなのを……」

 私は、断れるべく食べた後に絶叫マシーンに彼を案内した。
 この見た目と違って気の強さと恐いもの知らずな性格を見れば……引くだろう。
 今までの男性がそうだったし。

 それからジェットコースターに恐怖のアトラクション。あらゆる物に乗った。
最後は、休憩に観覧車に乗ったのだが……。