「あ、よう。やっと来たか……待ちくたびれたぜ?」
平然と言う大河内幸也だが、絶対に待ちくたびれてないでしょ!?と私は、そうツッコミたくなった。
だって可愛い系の美少年を抱き締めているし、イケメン男性なんて後ろから抱きついていた。
ここは、ホストではないのよ?
いや、ホストもなんか違う気がするけど……。
「一体……何の用ですか?僕に……」
鬼龍院さんもさすがに引いたようにおろおろしていた。
さっきとは、まったく正反対の態度だった。
しかし大河内幸也は、クスッと笑うと可愛い系の美少年を横に下ろし足を組んだ。
「何って……心外だな?
これでも愛を深めようとした仲なのに……」
「いや。どう考えても一方的でしたよね!?
愛を深めようとしたとか変な言い方をしないで下さい」
私は、我慢ならずにそうツッコんだ。
一方的に来て何を言い出すと思えば……。
鬼龍院さんを口説きに来たのなら邪魔してやるわ。
金属バットを握り締めてると大河内幸也は、私を見てクスッと笑ってきた。
「あ、君も居たんだね?気づかなかった……」
はぁっ!?あんた……私に喧嘩売ってんの!?
気づかなかったって……鬼龍院さんしか見てなかったってこと?あんまりだわ……腹の立つ男。
苛立つ私を無視してクスクスと笑う大河内幸也だった。
だが、笑うのを止めると背広のポケットからある物を取り出してきた。そして私達に見せてきた。
「お前ら伊崎組のことを調べているんだろ?
これに……伊崎組の居場所と今までの麻薬リストに関する情報が入っている。
欲しいかと思って持ってきてやったぜ」
見せてきたのは、USBメモリーだった。
しかも伊崎組の居場所と麻薬リストのデータが入っているなんて!?
どういう心境の変化!?
頼んでもない伊崎組の情報を提供してくれるなんて。
いや、それよりも何故分かったの?
伊崎組が絡んでいるって……。
鬼龍院さんも警戒していた。すると大河内幸也は、クスッと笑ってきた。
「そう警戒するなよ?俺の情報力を舐めてもらったら困るぜ。
欲しいんだろ……これ?まぁタダとは言わないが……」
「いくら欲しいんだ?」
「金なんていらねぇーよ、そうだな。
一晩で手を売ってやってもいいぜ?鬼龍院さんよ」