翌朝、目が覚めるとまた隣にソロが眠っていた。

顔を赤くしたレイアはソロの胸をポカポカと叩き、無理やり起こす。

寝ぼけたソロはゆっくりと目を開くと、手を伸ばしレイアを抱きしめる。

いつのまに部屋に忍び込んでいたのだろうか。

いつもソロはレイアが気づかないうちにやってきて、いつもこうして隣で眠っている。

こちらの気持ちを知らないことをいいことに、ソロはレイアの心をかき乱す。

段々とあきらめのついてきたレイアは大きくため息をつくと、ソロの背中をさすり、広い肩に顔をのせる。


「ソーロ! いいかげん起きてー! 今日はマリカの出発式だよー!」

「……そうか。今日だったか」


レイアの髪を撫でながらソロは身体を起こす。

それにあわせてレイアも身体を起こすと、寝台から降りて部屋にある鏡台の前まで歩いていく。

昨夜マリカと別れ、部屋に戻った後、レイアを待ち構えていたのは王宮の侍女たちであった。

レイアが戻ってくるなり、また別室に連れていかれオイルで身体中マッサージをされた。

贅沢な時間を味わったレイアはその日満足して床につく。

一夜経過した今でも効果は残っており、お肌の調子は絶好調だ。

鏡にうつった自分の肌はつやつやと輝いていた。

そんな自分に満足しにんまりとしていると、寝台をおりたソロがのろのろとした足取りで近づいてくる。

手を取られ、美しい鼻元にもっていかれると、くすぐるようにして匂いを嗅がれる。

臭いを嗅いで、眉根をよせるとソロは怪訝そうに低い声でレイアの名を呼んだ。


「匂いが違う」

「匂い……あー、香油の匂いかも。昨日、夜に香油を塗ってもらったの」

「……あまり好きじゃない」

「もー、そんなこと言わないでよ! せっかくやってもらえたんだから!」


腰に手を当てて、頬をふくらませるとソロの鼻のてっぺんを指で突く。

不機嫌そうにソロはもう一度匂いを嗅ぐと、飽いたようにレイアの手を離し、寝台へと戻っていく。

胡坐をかき、退屈そうにため息を吐くとじぃっとレイアを見つめる。

困ったようにレイアは微笑を浮かべる。

そんななか、部屋をノックする音が聞こえ、レイアはそれに対し返事をする。

「失礼します」と言って三名の侍女が入ってきた。

真中に立つ女は白い布地に銀糸で刺繍の施された衣装を、左右に立つ女たちは金をベースにし、宝石の埋め込まれた煌びやかな装飾品を持っていた。