――馬鹿だ。


 自分が何をしでかしたのか、ようやく頭が追いついた。


「うっわ……なんだこの小さい家。お前人間様のくせして本当にとんでもない扱いを受けてるんだなー」

「世の人間様の多くはこのくらいの家だと思うよ……」


 地面に膝と手をついて後悔しても、今さら遅い。


 どうしてこの人を家に連れてきたのか。気が付いたら身体がまた勝手に動いていた。この人を助けなくてはならない。そんな衝動に駆られてしまった。

 意味が分からない。

 大体家に連れてきてどうする。直ぐに警察がやってきて、問答無用の強制連行だ。そしたら当然、逃げた理由を聞かれる。俺がどうしてこの人を助けようとしたのか。もしくはお兄さんが俺を再度誘拐したと見なされて、お兄さんの罪が重くなる。俺のせいで。


「とりあえず……入ろうか……」


 そしたらなんてお詫びしよう。

 方法が思い浮かばない。所持金ゼロ円の今、賠償金なんて払いたくても払えないし、代わりになるような物は家にない。最も高価な物は小さい頃に誕生日プレゼントで買ってもらった民族お面だろう。


「!? ちょっ、靴脱いでよ!!」

「変わったことをするんだな」

「日本では普通だよ外国人! 靴を脱がずに室内に入るのは、ホテルの部屋か大金持ちの家に住んでいる奴らだけだ!」


 大金持ちでも靴を脱ぐ家庭はある。皇家がまさしくそれだ。


「ふーん……。大金持ち、ね」


 納得しなさげな雰囲気だ。