十三日の金曜日が不吉と言われているのを知って以来、「十三」という数字に良くないイメージを持っている。そんな偏見なことを考えていたから罰が当たったのだろう。十三歳のある日、自分の中で最低最悪とも言える出来事が起こった。

 現実を実感するのに数日。泣いて泣いて泣きわめき、人生に絶望した。早く歳をとって死んでしまいたいと思った。


 俺は「十三」が嫌いだ。十三日も十三番目も、十三歳も……「十三」と付くものは全て嫌い。早く十四歳になりたい。中学一年生の冬、誕生日を迎えて以来ずっと思っている。その十四歳になれる中学二年生が、今日から始まった。



「十二時……」


 ――あと、一時間。


「騎咲―!」

「うおっ!?」

「同じクラスで良かったなー! 根回し成功!」

「太子……!」


 全校生徒三百人程度の公立中学。始業式が終わり、生徒達が次々と帰宅していく時間だ。校門のところから時計をぼんやり見上げていると、聞き覚えのある声に名前を呼ばれた。

 一方的に肩に腕を回されているだけなのに、周りからすれば仲が良さそうに見えるらしい。

 まあ幼馴染みだし、実歳に仲良いけど……。通りかかった同じクラス、元同じクラスの男子共がいつものごとくからかってきた。


「お、妃じゃん」

「皇太子と一緒だなんて、マジで妃だな」

「乙女の妃ちゃーん!」


 毎度毎度、何度言えばわかる。


「俺は妃じゃなくて騎咲だー!」

「うわぁっ、妃が怒った!」

「皇太子! ヘルプヘルプ! 鬼の棒で殴られたら死ぬ!」