翌日、私は母さんと拓人さんと、3人で横浜に帰った。
飛行機の中でもあまり会話がなく、気まずい空気が流れたまま。

空港から、母さんは直接勤務先の病院へ向かった。

「優」
自宅に向かう電車の中で、拓人さんが呼ぶ。

私は、返事をせずに振り返った。

「僕との生活は、窮屈?」

「・・・」
なんとも答えられない。
今までみたいに、笑顔を作って「そんなことない。」とは言えない。



私を自宅に送り届けると、拓人さんも仕事に向かうらしい。

「僕もお母さんも、早めに帰ってくるから、待ってなさい」
そう言うと玄関の扉を開け、もう一度振り返って、

「お願いだから、どこにも行くな」
小さな声で言った。

きっと、母さんも拓人さんも仕事を無理して休んだんだ。
私のせいで・・・



午後8時。
母さんが帰ってきた。
手にはケーキと、フライドチキン。

えっ。クリスマス?

不思議そうに見ていると、

「誰かさんのせいで、今月の休みが全部消えそうだわ」
「ああ、ごめん」

「クリスマスは帰れそうにないから、ケーキ買ってきちゃった」
なんだか楽しそう。

「ただいま。」
拓人さんだ。

「えっ。クリスマス?・・・まだだいぶ早いけど」
やっぱり不思議そう。

「私のせいで、クリスマスは休めないんですって。だから」

「へー」
まじまじと顔を見られた。


買ってきたチキンとケーキ、あり合わせで作ったサラダをテーブルにならべ、3人で席に着いた。

私と向かい合って、母さんと拓人さん。

「今でも悪い事はしていないと思っている?」
真っ直ぐ私を見る拓人さん。

「・・・」

「何を怒られているか分かってる?」
ちょっとあきれ顔。

それは、
「門限守らずに、帰ってこなかったから」

「そうじゃないでしょう。約束を破ったこと。お母さんやみんなに心配かけたこと。まずはそこ!」
拓人さんが怒っている。

「ごめんなさい」
冷めていく夕飯を横目に、今までのことを全部告白した。


私がバーでバイトをしていたと知ったときの拓人さんは、恐ろしい顔をしていた。
これからは約束を守る気があるのかと聞かれ、私はうなずいた。

正直、「一緒に暮らす気があるのか」と聞かれるのではと思っていたが、拓人さんは言わなかった。
その代わり、私は携帯を取り上げられた。
涙ながらに抵抗してみたが、ダメだった。
無期限の携帯没収は、高校生にはつらい。
でも、仕方ない。
私が悪いんだ。