「あーだるぃー」
ため息と共に玄関の鍵を開ける。


午前1時40分

当然、誰も起きているはずのない家の中は真っ暗で何も見えない。
それでも、物音を立てないように静かにリビングのへ入り照明を点けた。


「疲れたー」

カバンを放り出し、ソファーに体を預ける。
途端に、まぶたが重くなった。

「ダメダメ、このまま寝たらダメ。カバンの中の制服は掛けないとシワになるし、顔も洗わなくちゃ・・・」

分かってはいるんだけれど、体が動かない。

結局睡魔には勝てず、15分のアラームをセットして私は眠りに落ちた。


私、神崎優 17歳 の高校2年生
ごくごく普通の女子高生と、自分では思っている。

家族は、母さんと2ヶ月前に母さんと結婚した拓人さんの3人暮らし。

母さんはちょっと天然だけど優しくて、42歳には見えない可愛い人。
一応、総合病院の内科医。

拓人さんは母さんの再婚相手で、32歳の会社員。
優しくて、いいお兄ちゃんって感じの人。

だから、「拓人と結婚してもいい?」って母さんに聞かれた時にもすんなりと受け入れられた。
何よりも、今まで私を育てる為にひたすら仕事をしてきた母さんに幸せになってほしかったから。



ピピッ ピピッ ピピッ

う〜ぅん。
携帯のアラームが鳴り止まない。

ピピッ ピピッ ピ
気力で体を起こして、停止ボタンを・・・押した。


その時、
ガラッ。
リビングのドアが開いた。

「あっ 」
一瞬で目が覚めた私は起き上がったが、言葉が続かない。

「おかえり」
沈黙を破ったのは、ドアの前に立つ拓人さんの方だった。

「た、ただいま」

「遅かったね」

「ぅん。 友達の家に寄ってたから」

「そう。夜中に女の子が独り歩きなんて危ないから」

「うん。気をつけます。 じゃ、おやすみなさい」

私は逃げるように自分の部屋に駆け込んだ。