「あの、生まれつきなんですか？」

「え？」

「痣。あ、すみません、言いたくないですよね、気にされてるのに。」

「いや、これは…。」

咲耶姫様が何かを言おうとした時、急にガタガタと襖が震え出し、突然のことにビクッと肩が震えた。二人して揺れる襖の方を見やる。

「地震？」

「いや、違うな。」

ビクビクする私とは反対に、咲耶姫様の声は冷静だ。思わず咲耶姫様の袖を掴んだ。
何だろう、今度こそ幽霊とか？

突然パーンと勢いよく襖が開いた。

「元気にしておるか！見舞いだ！」

そこには厳つい男が立っていた。何だかとんでもなく熱いオーラを纏いながら仁王立ちだ。

「誰だ？俺の咲耶姫と何をしている？」

「ひっっっ！」

ギロリと睨まれ、私は尚更身を小さくした。
怖い。怖すぎる。
咲耶姫様は私を後ろ手に庇うように立ち上がり、厳つい男の前に立ちはだかる。

「帰ってくれ。今日は客人が来ているんだ。」

「なんだと！俺より客を取るのか！」

「そうだ！女子会をしているのだ。」

「じょしかい？なんだそれは？」

「大事なことなのだ、邪魔するな。」

ピシャッ。
食いつかんばかりの男に咲耶姫様は冷たく言い放つとそのまま襖を閉めた。

急に静かになる部屋。
汗がたらりと落ちた。