「希空ちゃんの『あのこと』って?」


 ……‼

 そうだ、真宙くんが今の黒川さんの言葉を録音してたということは、真宙くんは、私が黒川さんに『あのことを言ってもいいのか』と言われていたことを聞いていたことになる。

 ということは、真宙くんは私の過去に何かがあるということを悟ってしまった……?

 どうしよう。
 真宙くんが私の過去を知ってしまったら、真宙くんは私のことを嫌いになってしまうかもしれない。
 嫌いにまではならないとしても、もう私とは仲良くしてくれないかもしれない。

 嫌……。
 真宙くんに遠ざけられてしまうなんて、絶対に嫌……‼


「あ……青野くん……」


 お願い‼ 黒川さん‼
 真宙くんに私の過去を言わないで‼


「なに、言えないの?」


 真宙くんも、もうこれ以上、黒川さんにそのことを訊くのはやめて‼


「オレは平気だけど」


 え……。

 真宙くん……?


「オレは希空ちゃんの何を聞いても、希空ちゃんのことを嫌いになったり幻滅したりしないから」


 真宙くん……。


「……嘘……なの……」


 え……。

 黒川さんの声が小さくてよく聞こえなかったけれど、今、確かに黒川さんはこう言った。

『嘘』って……。

 黒川さん……。
 嘘って……うそ……。


「本当は……麻倉さんの過去のこと……何も知らないの……」


 え……⁉


「試しに麻倉さんにそう言ってみたら、麻倉さんに反応があったから……それで、私……」


 そ……そんな……。

 それじゃあ、私……黒川さんの嘘にまんまと……。