「……さっきは……」


 その男子は再び口を開いた。


「……草野と花咲が……そうなっている……とは知らなかったとはいえ……花咲に……あんなこと……をして……ごめん……」


 その男子は謝っていた。


 僕は、こういうときどういうふうに言えばいいのだろうと思った。


 許す……というのもなにか違う。


 でも……許さない……というのもなにかが違う……。


 僕は、どうしようか迷った。


 ……迷う……? それもなにかが違う……。


 なら一体どうすれば……。


 …………。


 ……そうか……。


 何かの違和感……それはその男子が僕の方を見て謝っていたから……。


 その男子が謝るのは僕にではない。


 その男子が謝らなければいけないのは……。


「……僕に謝らなくていいから加恋ちゃんに……」


 そうだ、その男子が謝らなければならないのは加恋ちゃんにだ。


 そして、その男子は加恋ちゃんの方を見た。