「うん。上手いじゃないか。ご馳走さま」

ペロッと舌で指を舐めながらそう言ってきた。
あぁ……食べちゃった。食べてもらう相手が違うのに
するとムスッと怒り出すあの男。

「もういい。俺は、どっちみち食べないからな」

「えっ?ちょっと……陛下!?」

怒ったあの男は、そのまま厨房から出て行ってしまった。
あぁ、せっかく食べさせるはずが……。
作るだけ作っても食べないためガッカリしてしまう。

「あれ?俺……なんかマズイことした?」

「まぁ……実は……」

私は、仕方がなくゼトリック様に今回の事や
パーティーの事情を話した。
するとゼトリック様は、深いため息を吐いていた。
呆れたかしら?と思っていたら……。

「相変わらずだねぇ……アディは。
まぁ、そういう性格になったのは、昔のことがあるから
仕方がないと言えば仕方がないけどさ」

「ゼトリック様は、原因を知っているのですか?
私は、昔読んでいた本が原因だとエレンから
聞いておりますが……」

確か身体が弱くて、その時にたまたま読んだ本に
影響されてあんな性格になったはず……。
するとゼトリック様は、クスッと笑う。

「そうだね……元々の原因は、あの本だけど
もう1つそうなる原因があるんだ!」

えっ……?もう1つ原因が?
それは、またどういうことだろうか。
エレンには、それしか聞いていないが他にも?

「アディのお母様にも原因があるんだよ!
アディの母親は、皇后になる前は、元侍女だったんだ。
このエミリオンの宮殿のね」

えっ……えぇっ……!?
私は、またもや衝撃を受けた。あの男の母親が
元こ宮殿の侍女だったなんて!?
そうなるとアミーナとエレンと立場一緒になる。
一体どうやってそんな仲に?