ゼトリック様?って人は、私を見ると
ニコッと微笑んできた。思わずドキッと心臓が高鳴る。
すると私に近づいてきた。
「おや。君かな?アディの婚約者で皇后になる
ユリア皇女様って?はじめまして
俺は、ゼトリック・チャールズ。隣国の
チャールズ帝国の皇帝だ。アディとは、幼馴染みで
親友でもあるからよろしくね」
「チャールズ帝国の皇帝!?あ、えっと……。
はじめまして。さく……じゃなかったユリア・アースです」
私は、慌てて挨拶をする。
うわぁ……あの男以外の皇帝が現れるなんて。
しかもこの男と親友で幼馴染みだとは驚きだわ。
驚いているとゼトリック様は、クスクスと笑う。
「君の噂は、アディからよく聞いているよ。
大変勝ち気で可愛らしい女の子だって。
確かに見てみれば、なんて愛らしいんだ。
これは、アディが惚れるのも頷けるね」
そう言うと私の手の甲にキスをしてきた。
えっ……えぇっ!?
思いがけない行為に心臓がさらにドキドキしてしまう。
するとあの男は、慌てて私から引き剥がすと抱き締めてきた。
「貴様……何人の妻に手を出そうとしているんだ?
相変わらず女にだらしない奴だな」
「やだなぁ……ただの挨拶だよ?
君も相変わらず純粋だね。極悪非道になりたいのなら
これぐらい平気でやれるようにならないと」
「フン。俺は、貴様みたいな女にだらしない男に
なりたいとは思わん。女は、1人で十分だ」
いやいや。極悪非道になりたいのなら
ゼトリック様の意見の方が正しいような?
どうやらゼトリック様は、女たらしのようだった。
それに比べてあの男は……。
女は、1人で十分だと言われて
恥ずかしくも心臓がさらに高鳴ってしまった。
ドキドキしているとそれを見たゼトリック様は、
クスッと笑った。
「はいはい。お熱いね……君らは。
それより楽しそうにお菓子作りかな?
へぇ……マカロンか。君も一緒になって作ったなんて
凄いなぁ~どれどれ」
ゼトリック様は、そう言いながらマカロンを
1個摘まむと口の中に入れてしまった。あっ!!
あの男に食べさせるはずが……。
「あ、おい。貴様……何、人の菓子を勝手に!!」