ダイニングルームに着くと私とついてきたアミーナ、
エレンが隠れて中の様子を伺った。
こっそりと覗くと……あ、本当だわ!!
あの男が居た。しかし、どんよりとした表情で
食事をモゾモゾと食べていた。
なんて言うのだろうか……暗い。

極悪オーラのはずなのにどんより雰囲気に
下を向いて食べている姿は、ぼっちみたいだ。
学校で好きで1人に居る人ならいいが
友人が1人も居らず孤独に食べているクラスメートを
見ているような気持ちになってきた。
すると側近で執事のロンがあの男に話しかけていた。

「陛下。だから言ったじゃないですか?
もっと愛想良くしないと皇后様に嫌われると。
何故あのような態度になったのですか?」

「……仕方がないだろ。緊張していたんだ。
それにあれぐらいで逃げるような女なら俺の妻として
相応しくない」

「また……そのようなことを。ギリギリまで
こっそり練習していたの知ってますよ?
なのに……真逆の事を仰るから現に皇妃様は、
部屋に籠ったりきりではないですが……」

「うっ……うるさい。黙っていろ」

ムスッとするあの男だったが、明らかに
態度が会った時と違い動揺していた。
えっ……あれがあの男なの!?
それに2人の会話だとあの腹の立つ程度は、
本音ではなく緊張して真逆な事を言ったってこと?
しかもギリギリまで言う事を練習までして……。

「ねぇ、話した通りでしょう?
あれが陛下の素なんですよ。意地っ張りだから
つい本音が口に出さなくなっちゃったみたいです。
ユリア様。どうでしよう?
あのままでは、食事が喉を通らなくなりますし
陛下のためにも……一緒に食事をなさっては?」

「で、でも……」

エレンは、そう言ってくるがさっき凄く
酷い事を言ったのよ?それに……そんな義理はない。
私は、アース国のために来た訳で
あの男がどうなろうが知ったことではない。
しかし……。チラッとあの男を見る。

さらにしゅんと落ち込みもぼっち感が加速している。
何だか逆に可哀想に思えてきた。
ダメダメ。そう思うのだが……こういう人を見ると
放っておけない性格だ。学校に、こういう生徒を見ると
構わず声をかけていた。

副会長や副主将としての性分か……。
うーん。かなり自分の中で葛藤する。
何で私が……こんな奴のために?嫌よ……でも。

結局我慢が出来なくなり私は、仕方がなく
長いダイニングテーブルの向かい側の席に座った。
非常に気まずいが……。
するとロンとあの男が驚いた顔をした。

「皇后様……」