私は、ソッと手を離すと布団をかけてあげる。
フフッ……可愛い。
私は、チュッとおでこにキスをした。

その晩は、私がそのまま看病した。
途中で眠ってしまったが、ハッと起きて
タオルを取りおでこを触ってみると……良かった。
どうやら熱は、さらに下がったようだった。

ホッとしているとあの男が目を覚ました。
ボーッとしながら起き上がる。

「あ、急に起きて大丈夫?まだ横になっていた方が」

「……ここは、何処なんだ?くっ……何で俺が
こんなところで寝ているんだ?」

あれ?口調が……違う。というか、元に戻っている!?
どうやら熱が下がったことで、元のツンデレな態度に
戻ってしまったようだった。

私は、慌てて説明を話すとあの男は、
チッと舌打ちをした。不機嫌そうに……。
な、何この態度の違いは!?
熱のある時は、可愛く甘えてきたはずなのに
今は、不機嫌に眉間にシワを寄せていた。

「そういう訳で話も上手くまとまったので
余計に話をこじらせないで下さいね?
そうでもなくても、こじらせやすいのだがら」

「いちいち言わなくても分かっている。
話を合わせればいいのだろう?チッ……めんどくさいな」

あ、また舌打ちをした!?
それにめんどくさいって……私は、あなたの性格が
めんどくさいわよ!
それに、やっぱり熱のある時の方が可愛げがあり
良かったなぁ……と思った。

元の性格だと違う意味で私が持たないわよ!
余計なことを言わないかヒヤヒヤするから……。
ハァッ……と深いため息を吐いたのだった。

それから、どうなったかと言うと嫌々ながらも何とか
あの男が演じてくれたお陰で、揉めることもなく
すぐに帰れることになった。
まだ傷は癒えてないが、元々軽症なのと
早めに帰らないと国が心配だからだ。
帰り支度をして馬車まで行くと両親が見送りに来てくれた。

「じゃあ私は、またエミリオン帝国に戻るわね」

「戴冠式には、必ず出席するわ。
元気でね?ユリア……身体には気をつけて」

「はい。お母様とお父様もお元気で」