目をウルウルさせながらそう言ってきた。
な、何よ……そのおねだりの仕方は!?
お菓子の時も食べさせろと言ってくるが
どちらかと言えば上から目線だし……。
まさか、そんな子犬のような甘え方で
おねだりされるとは思わなかった。
何だか余計に心臓がドキドキと高鳴ってしまった。
「もう……仕方がないわね。ほら、あーん」
「あーん」
私は、レンゲを使いお椀からすくうとあの男の口元に
持って行く。あの男は、口を開けた。
ニコニコしながらモグモグと味わうように食べ出した。
「うん。美味しい……。ユリアが食べさせてくれるから
今日は、余計に美味しいね」
な、なぁ……!?
あの男の言葉に頬が余計に熱くなった。
いつもならそんな台詞なんて言ってくれないのに。
これは、熱のせい?そうなのよね……。
いつもと態度の違うあの男に戸惑うが……か、可愛い。
素直な姿に思わずときめいてしまった。
「ねぇユリア。もう一口ちょうだい」
「あ、うん。はい、あーん」
「あーん。ん……うん……美味しい」
ニコッと笑うあの男は、やっぱり可愛いと思った。
その後も食事を済ませると薬を飲ませ横にさせた。
するとその際にも……。
「ユリア。手をギュッとして寝たい。ギュッとして」
そう言いながら手を伸ばしてきた。
熱のあの男は、甘えん坊だ。心細いからかな?と
思ったが、これが彼の本当の素なのかもしれないと思った。
ゼトリックって人も言っていた。
亡き母親のために強くなろうと思って
あのような態度になっているが、本心ではない。
本当の彼は、もっと繊細で甘えん坊で……。
そして笑顔の可愛らしい男性なのかもしれない。
私は、手を握ってあげると満足そうに微笑み
そのまま眠ってしまった。
まるで小さな男の子のような寝顔で……。