「準備は、私達がしましたがインテリアなどは、
陛下の指示ですわ。これからずっと住むなら
ユリア様の好みにした方がいいとおっしゃっていましたので」

へ、陛下の指示!?
エレンの言葉にさらに衝撃を受ける。えっ?
あの男が自ら動いて指示を出したってこと?
だって人質とな言っていた奴よ?
そんな男がそんな気遣いするのかしら……。

「ねぇ……エレン。あなたから見て陛下って
どんなお方なの?」

気になる……。
他人から見た陛下ってどんな男なのだろうか。
やはり人相の悪い極悪?
するとエレンは、うーんと考え込みながら

「そうですねぇ……ツンデレ?あ、あと。
見た目は、ドーベルマンみたいな猛獣っぽいですが
中身は、キャンキャンと吠えるチワワや
マルチーズみたいな小型犬ですかね?」

ツンデレにキャンキャンと吠えるチワワやマルチーズ!?
どちらも小さな可愛らしい小型犬じゃない。
しかも、むしろ吠える姿も可愛らしい……。
陛下を犬に例えるエレンも凄いが例えがもっと凄い。
いやいや。どう見ても猛獣でしょう。
それに……ツンデレ?驚く単語が出てきた。

「まぁ子犬とは、意外ですね。
どう見ても猛獣みたいな容姿していらっしゃるのに」

アミーナは、思わずそう言ってきた。
私も頷いてしまう。するとエレンは、クスクスと笑う。

「フフッ……陛下は、誤解されやすいですからね。
他国では、極悪非道とか血も涙もないと言われてますが
本当は、心優しい方なんですよ。
それに……そうなったのも理由がありまして」

「理由……?」

「はい。陛下は、幼少の頃は、身体が弱くて
本ばかり読んでいる方でした。
そこで見た書物に影響されまして
極悪だと言われていた皇帝が国を制覇し救ったとか。
戦争も多いので、他国に舐められないように常に
強く怖い皇帝になりたいようで、それ以来そのように
努力して振る舞われています。でも人の良い性格が
裏目に出てただのツンデレさんになっちゃって。
前皇帝もあれならいいかと何も口を出さなかったので
今の状態のままなんですよ!」

ニコニコしながら平然と言ってくるエレンに
ポカーンと口が開いた。子供の頃身体が弱ったのも
疑い深いが書物に影響されてあぁなったわけ?
いやいや。それってどうよ!?
フォローしてもかなり無理があるし
もし本当だとしてもそれを止めないとか……。

「それ……本当のことなの?」

「はい。もちろんです。
その内にユリア様にもご理解頂けますわ」