「るんる、るんる、るーー♪」

ハンプトン子爵令嬢は、ホウキに乗って空を飛べるようになり、嬉しさのあまり帰る時にもホウキに乗ることにした。

「風が気持ちいいわねー♪あら?あれはなにかしら?もしかして、人が倒れてる?」

急いで近づいていった。

若い女性が倒れていた。

「やっぱり人だわ!!どうしたの!?大丈夫!?」

体を揺すってみると、少しまぶたを開けた。

「良かった。生きてるわ!!あなた大丈夫!?」

すると、「み……。」と発した。

「えっ!?み……何!?どうしたの??」

「み……み……ず……。」

「えっ!!?ミミズ!?ミミズがどうしたの??」

「ち……が…………み……ず……。」

「えっ!?近道!?」

「そ…う…じ……な…い。……み…………がほしい。」

「掃除しない。身がいい。なるほど……。掃除しなくてもいい、身分になりたいと言うことかしら?でも、なんで今そんなこと言うの?とりあえず、あなた、ずっとそこに倒れていたんだったら、何も飲み食いできてないでしょうから、水でも飲みなさいよ。」

そう言って、水を飲ませた。

「ゴクゴク、ゴクゴク。」

「あなた、よっぽどのどが渇いてたのね……。」

「ゴクゴク、ゴクゴク。」

「そんなに水が欲しいのなら、すぐに言ってくれたら良かったのに……。」

「ゴクゴク、ゴクン!!……助けてくれて、ありがとう。生き返ったわ!!!私、水が欲しいってずっとあなたに言ってたわ!!」

「えっ!?嘘!!?そうだったの!?全然、分からなかったわ!?」

「察しろよ!!そこは!!……ゴホン。ごめんなさい。助けてくれた命の恩人にそんなこと言ってしまって……。」

「いや、私もあなたの言いたいことを気づけなくて、ごめんなさい。良かったらこの食料も食べて。」

「えっ!?いいの??ありがとう!!」

すぐに受け取り、ムシャムシャと食べ始めた。

「よっぽどお腹が空いていたのね……。一体、なにがあったの??」

その女性は、食べ終わると話し始めた。



「私は、レオルーノという国の侯爵令嬢なの。」

「レオルーノって、グラスターの北の方にある国よね!!なんでこんなところに倒れてたの??」

「実は私、親に見捨てられたのよ……。話は長くなるんだけど、私はレオルーノの第一王子と婚約してたんだけど、学園に入ってから王子がそこで出会った、ある子爵令嬢と仲良くなったの。そして、その子爵令嬢は私にやってもない罪を被せてきたの。例えば、私が子爵令嬢を階段から突き落としたりだとか、子爵令嬢の筆記用具を隠したりだとか……。

だけど、私は一切そんなことはしていないのよ!!そう王子に訴えても信じてもらえなくて、婚約破棄されてしまったの……。親はカンカンに怒って、私をここへ捨てたわ。」

「なんて酷い親なの??普通だったら、子供を庇うのが親でしょう??」

「親は私が王子と結婚して、いずれレオルーノの国の王妃になってほしかったのよ。

そして、侯爵家を盛り立てようとしていたのよ。だから、私は親にとって道具に過ぎないの……。いらなくなった道具は捨てられるのよ……。」

「酷いわ!!!許せない!!!!私、あなたを助けてあげる!!!」