「えーと、これは、その……」
魔法でこうなったとは言いづらい。
ハンプトン子爵令嬢は、一体どう説明していいのか戸惑っていた。

代わりにノアが口を開いた。
「僕はこいつにイジメられていて困っていて、イジメをやめてほしいと言ったら殴りかかってきたんだ!」
「そうだったのか!しかし、なんでその子は倒れているんだい?」
「それは、僕が正当防衛したからだよ!」
「難しい言葉をよく知ってるね……。」
「今まで気がつかなかったけど、僕かなり強いみたいだよ!」
「大きな音がしたのはなんだったの?」
「それは、僕が力の加減が分からなくてああなっちゃったんだ……。」
「殴っただけで、あんな音するか?」
「「するよ!!!」」
「……まあいいとして、この女の人は誰だい?」
「このお姉ちゃんは、僕が一人じゃ不安だったから一緒についてきてくれたんだよ!」
「……そうなのか。説明してくれて、ありがとう。殴られたところの手当てをしよう。」
「うん。」
そして、ノアをイジメていた子供は運ばれていき、ノアは殴られたところの手当てをするために連れていかれた。




後日、ノアがハンプトン子爵令嬢のもとを訪ねてきた。
「この間は、ありがとう!あいつも反省したみたいで、もう僕をイジメたりしないって言ってくれたよ!」
「そうなのね!良かった!だけど、私のせいでノアが殴られてしまってごめんなさい……。」
「いいよ!こんなのすぐに治るよ!それより、僕にも勇気を出せるんだって気がつかせてくれたお姉ちゃんに感謝しているんだ!」
「!!……良かった!」
ハンプトン子爵令嬢は、ノアが自分に自信を持った姿を見て安心した。
「あっ!それから、お姉ちゃんが魔法を使えることはみんなには黙っておくからね!お姉ちゃん、言いたくなさそうだったし。」
「ありがとう!魔法が使えるってみんなに知られたら面倒くさそうだし、言わないでくれて助かるわ!」
こうして、ハンプトン子爵令嬢とノアとの絆ができた。